◇◇研究発表◇◇ 分科会A ≪研究集会テーマ?≫ (10:00−10:40) 新作組踊:琉球古典演劇の境界を越えて マンマナ・フランセス(琉球大学研究生) 組踊は特に中国の冊封使に見せる為に儒教の精神を堅持して琉球王府の支配階級によって創作され上演されたが、それは現在新進のジャンルの新作組踊の基礎になっている。
「研辰」の系譜 出口逸平(大阪芸術大学) 木村錦花原作、平田兼三郎(竹柴兼三)脚色の「研辰の討たれ」一幕三場は、大正十四(一九二五)年十二月歌舞伎座で上演された。文政十(一八二七)年閏六月香川で起きた仇討ち事件は、たちまち瓦版や実録体小説・読本となり、歌舞伎でも「敵討高砂松」(文政十年初演)等の外題で繰り返し上演されてきたが、なかでもこの「研辰の討たれ」は評判を呼び、一種の研辰ブームを巻き起こした。翌十五年十月にはさっそく五幕七場に増補されて再演、さらに「稽古中の研辰」(大正十五年十二月初演)・「恋の研辰」(昭和二年九月初演)が書き加えられ、その後も伊丹万作監督の無声映画やエノケン・ロッパの喜劇、戦後は新国劇や松竹新喜劇の舞台でも取り上げられている。
近松の継承と創造―「南条好輝の近松二十四番勝負」― 水田かや乃(園田学園女子大学近松研究所) 三年前の二〇〇四年より、大阪千日前のトリイホールで、読本会「南条好輝の近松二十四番勝負」という朗読劇が行われている。年に三回、近松門左衛門の世話物二十四作を原作に忠実に、しかも現代の大阪ことばに直して朗読するという公演である。出演は大阪を中心に活躍する俳優南条好輝氏と三島ゆり子氏。ベテランの二人が男女の役を語り分け、南条氏は地語りも勤める。発表者は、第一回の公演から監修を勤め、南条氏が作った台本を原作と突き合わせて改訂し、近松の原作から離れぬことを基本方針としながら、現代のドラマとして成立させる役割を負っている。今回の発表では、浄瑠璃として書かれている原作のことばを、いかに取捨しながら、「聴いているのに観ているような実感」を観客に与えることができるかを、具体的な作品を例としながら紹介し、この試みが、現代における近松入門として一つの有効な方法であることを実証したい。 |
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