西洋比較演劇研究会 | 日本演劇学会

西洋比較演劇研究会

研究会からのお知らせ

西洋比較演劇研究会 2024年1月 第233回例会案内 ※オンライン併用(12/20 会場変更)

公開日:2023-12-18 / 更新日:2023-12-20

2024年もどうぞよろしくお願いいたします。年度としては最後の例会となります。どうぞふるってご参加ください。

  • 日時:2024年1月6日(土)14:00-18:00
  • 会場:成城大学 312教室 ⇒ 8号館2F 821教室 (3号館は暖房が入らないため変更)
    • Zoomによるオンライン併用開催となります。日が迫りましたらZoom情報を会員メールでお知らせします。案内が5日夕刻までに届いている様子がない場合は、niinuma★art.tamagawa.ac.jp(★を@に代えて)まで問い合わせください。

プログラム

  1. 研究発表(14:00~15:45)
    辻佐保子「アメリカン・ミュージカルの作劇をラジオ・コメディから照らし返す –– 『ダフィーズ・タヴァーン』を例に」
  2. 合評会(16:00~17:20)
    小田中章浩『戦争と劇場 − 第一次世界大戦とフランス演劇』(水声社、2023年)
    1. 執筆者から著書の簡単な説明(10分程度)
    2. コメンテーター①(穴澤万里子)からのコメント・質問(20分程度)
    3. コメンテーター②(田ノ口誠悟)からのコメント・質問(20分程度)
    4. フロアからのコメント・ご質問(20分程度)

発表要旨(1.研究発表)

 20世紀中葉のアメリカン・ミュージカルに携わった作り手の中には、ラジオで活躍した者が少なからず存在する。『オン・ザ・タウン』 (1944) でデビューを飾った作詞家・脚本家のベティ・コムデンとアドルフ・グリーンは、『ファン・ウィズ・ザ・レヴュワーズ』(1940) で中心的な役割を担った。また、『ガイズ・アンド・ドールズ』(1950) や『ハウ・トゥ・サクシード』(1960) で知られるエイブ・バロウズは、『ダフィーズ・タヴァーン』で1941年から1945年まで筆頭作家を務め、1948年には看板番組『エイブ・バロウズ・ショー』でMCを務めた。
 ミュージカル研究において、ミンストレル・ショーなど近接領域との交錯を看過せずにミュージカルの表現の独自性を捉え直す作業が進みつつある (Rogers 2020)。それでも、ラジオやテレビといった作り手が実際に携わった媒体との関係は必ずしも重視されていない。それに対して、ラジオでの活動とミュージカルでの活動は切断されるべきではないという問題意識に基づき、発表者はすでに『ファン・ウィズ・ザ・レヴュワーズ』の考察を行った(辻 2021)。その成果を踏まえて本発表は、『ダフィーズ・タヴァーン』の分析を行う。
 バロウズ自身、『ダフィーズ・タヴァーン』の執筆が『ガイズ・アンド・ドールズ』に役立ったと述べているが (Cross N.d.)、発言は人物描写にとどまっている。ラジオでの経験がいかにミュージカルに作用したかを考えるためには、台本の精査が必要と考えられる。そこで本発表では『ダフィーズ・タヴァーン』の作劇法を論じることから、バロウズのミュージカル研究へ至る回路を見出したい。『ダフィーズ・タヴァーン』の主人公はバーテンダーのアーチーで、タイトルに冠されたダフィーは店のオーナーであるものの番組内に姿を全く現さない。ダフィーは頻繁に店に電話をかけるが、リスナーにダフィーの声が届くことは一切なく、アーチーの応答のみが聞こえてくる。本発表では、番組内で頻繁にアーチーとダフィーが電話でのやり取りすることに着目し、聴覚情報に依拠したラジオでダフィーの表象がどのような意義を有するかを論じることで、バロウズのラジオでの方法論の一端を明らかにする。(本研究はJSPS科研費 JP22K00235の助成を受けたものである)

書籍内容紹介(2.合評会)

 本書は、第一次世界大戦下のフランス演劇を対象に、戦争と演劇の関係に迫った書物である。
 著者は当時の検閲調書や台本をもとに、「愛国主義と鎮魂」、「検閲とプロパガンダ」、「前線劇場と民衆演劇」、「戦争と風俗」、「レヴューの世界観」といったテーマを設定し、戦争に直面した演劇が抱えた課題を多面的に考察する。
 とりわけ、作品や舞台の作り手(劇作家、俳優、プロデューサー)のみならず、観客の反応を重要視している点に本書の特色があると言える。
 また、先行研究を批判的に検討し、膨大な資料を渉猟した類を見ない研究書であるとともに、当時の演劇界を支えた仕組みや、人気スターの来歴から流行作の内容までがリーダブルな文体で紹介され、前提知識に乏しい読者にも広く開かれている。
 今日のわれわれが、第一次大戦以後の政治的・社会的・メディア的状況下にいることは、この数年ますます実感されるところである。演劇もその例に漏れない。本書は、ブレヒトを画期として、表象の可能性自体を問いかける現代的な演劇観が、すでに大戦下のレヴューによって準備されていたことを示唆し、さらに戦時下において露わになった演劇の原初的な役割を示唆するものである。

  • 登壇者プロフィール
  • 辻佐保子(つじ さほこ)
    • 静岡大学人文社会科学部言語文化学科専任講師。ミュージカル研究、アメリカ文化史、メディア論。主な論文として「ミュージカルにおける「歌の不在」の機能と意義 –– 『オン・ザ・タウン』の劇作法について」(『アメリカ演劇』第32号、2021年)、“Salute to Radio’: The Self-reflexive of Betty Comden and Adolph Green in Fun with the Revuers” (Studies in Musical Theatre, Vol.14, no.2)。
  • 小田中章浩(おだなか あきひろ)
    • 博士(文学)。専門は現代フランス演劇、比較演劇。大阪公立大学大学院文学研究科文化資源学専修教授。著作として『現代演劇の地層−フランス不条理劇生成の基盤を探る』(2010年、ぺりかん社、日本演劇学会第43回河竹賞受賞)、『フィクションの中の記憶喪失』(2013年、世界思想社)、『モダンドラマの冒険』(2014年、和泉書院)、Akihiro Odanaka and Masami Iwai, Japanese Political Theatre in the 18th Century: Bunraku puppet plays in social context (2021, Routledge)がある。
  • 穴澤万里子(あなざわ まりこ) 
    • 博士(文学・比較文学)。専門はメーテルリンクを中心としたフランス象徴主義演劇。同年代の演劇と美術の関係をライフワークとして研究している。明治学院大学文学部芸術学科教授。日仏演劇協会実行委員。ジャポニスム学会会員。AICT(国際演劇評論家協会)会員。著作はMaeterlinck et les Japonais(2021, L’Harmattan)、Ma Theory and the Creative Management of Innovation(2017, Palgrave 共著)等。『ユビュ王』、『スペインの戯曲』(ヤスミナ・レザ)など翻訳も行う。明治学院大学言語文化研究所で毎月、戯曲を読む会を開催。
  • 田ノ口誠悟(たのくち せいご) 
    • 博士(舞台芸術学)。専門:20世紀以降のフランス演劇とフランス文学、舞台・戯曲翻訳論。国際基督教大学など非常勤講師、日本学術振興会特別研究員PD。著書:『ポール・クローデルとその時代』(共著、水声社、2023年)、『フラ語ダイエット! フランス語入門』(共著、トレフル出版、2020年)、『西洋演劇論アンソロジー』(共著、月曜社、2019年)など。









  • 西洋比較演劇研究会

  • 基本的に西洋演劇研究を軸としつつも、比較の観点から広く演劇現象全般を見渡すという姿勢を貫いています。国際的な意識を持って活動する国内・国外の演劇人・研究者たちを招いて、意見交換をする場も設けています。

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