2025年度研究集会のお知らせ【第一報】 | 日本演劇学会

2025年度研究集会のお知らせ【第一報】

公開日:2024-12-23 / 更新日:2024-12-23

テーマ:演劇とその社会的応用
開催期間:2025年10月18日(土)・19日(日)
会場:芸術文化観光専門職大学(兵庫県豊岡市山王町7-52)

主旨

 社会の中に演劇があるのだから、演劇が社会的なものであることは疑いようがない。一方で演劇のある部分を社会のある部分のために用いる応用演劇実践も社会には存在する。
 本集会のテーマは「演劇とその社会的応用」である。本学会でもたびたび議論されてきているように、演劇芸術の持つ総合性、文学性、身体性などの特徴を、教育、心理臨床、地域、観光、その他の様々な分野で個別の問題にフォーカスして生かすような実践が、我が国においてもさかんに行われてきた。
 例えば、豊岡市では全小中学校で演劇ワークショップによるコミュニケーション教育が行われていたり、豊岡市、朝来市などの但馬地域3市2町では全ての高校相当の学校で演劇教育が行われている。また養父市では現在、演劇を医療と接続する試みが行われている。豊岡演劇祭では、地域で演劇をつくること、演劇を観ること、劇場を巡ることが、観光という観点から地域の活力を創出する契機となっている。
 一方で、そうした一見応用実践とされているような、地域の住民や子どもたちが参加する演劇や障がい者演劇など、それは本当に応用演劇なのか、いや純粋な演劇なのではないか、といった判別しがたい実践も近年は数多く存在する。
 本集会においては、演劇の「社会的応用」という概念をあえて提示することで、演劇そのものの持つ社会性についての議論も含めて、演劇を応用するとはどういうことか、そもそも純粋な演劇とは何か、応用演劇は演劇の芸術性を蔑ろにしているのか、応用演劇は純粋演劇の下位にあるのか、演劇を応用することでもたらされる社会への影響とは何か、など本質的な議論が展開されることも期待している。
 具体的な研究テーマ及び分野としては、学童、保育園、幼稚園、小・中・高校の演劇教育、定時制・通信制・特別支援における演劇教育、専門学校・大学及びその他の高等教育機関における演劇の応用、地域演劇、地域ミュージカル、公共ホールにおける住民参加型演劇、町おこしと演劇、障がい者演劇、高齢者演劇、刑務所・医療・福祉事業所などにおける演劇の応用、企業研修における演劇の応用、宗教と演劇、コミュニケーション教育と演劇、ボアールの被抑圧者の演劇、ブレヒトの教育劇、演劇ワークショップ、アプライドドラマ、サイコドラマ、ソシオドラマ、ドラマセラピー、ロールプレイ、インプロ、アートベースリサーチ等の研究方法としての演劇、パフォーマンス学と演劇、演劇理論の社会的応用などが考えられよう。
 地域の中で演劇芸術の可能性を教育・観光の分野で追究している本学で、演劇とその社会的応用についての議論が深まることを期待する。また開催校の特質も踏まえ、事例紹介、ワークショップなどの開催も検討している。テーマ以外の発表も含めて、ぜひ多くの研究発表、パネルディスカッションの応募をお待ちしている。

2025年日本演劇学会研究集会実行委員会

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