西洋比較演劇研究会 2024年10月(第237回)例会 シンポジウム「第一次世界大戦下の演劇と映画」 | 日本演劇学会

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西洋比較演劇研究会 2024年10月(第237回)例会 シンポジウム「第一次世界大戦下の演劇と映画」

公開日:2024-10-02 / 更新日:2024-10-02

  • 日時:10月19日(土) 14:00- 18:00
  • 会場:成城大学8号館2F 822教室 対面・オンライン併用
    • 前日までにリンクを送付します。非会員でオンライン参加を希望される方は、10月17日までに、簡単な自己紹介と連絡先メールアドレスとともにご連絡ください。連絡先:y3yamash★seijo.ac.jp(山下)※★をアットマークに換えてご送信ください。
  • パネリスト:小川佐和子(兼司会)・小田中章浩・横田洋(ゲスト)
  • コメンテーター:神山彰
  • タイムテーブル
    • 14:00〜15:30:パネリストによる発表
    • 15:30〜15:45:コメント
    • 15:45〜16:00:休憩
    • 16:00〜:コメントへの応答、会場との議論(最長で18:00まで)

趣旨

 史上初のグローバルな総力戦となった第一次世界大戦(以下、第一次大戦)は、欧米における芸術や学知に激震をもたらした。日本とは異なり欧米においては「西洋の没落」が叫ばれ、第二次大戦よりも第一次大戦こそが現代世界の起点と認識され、現在においても私たちはその生々しい衝撃の只中に置かれている。第一次大戦のインパクトは、ハイカルチャーだけでなく、前線および銃後で当時盛んに上演・上映された演劇と映画にも及んでいたことは小田中章浩氏の『戦争と劇場 第一次世界大戦とフランス演劇』が明らかにした。

 一方、日本では「対岸の火事」とみなされがちだった第一次大戦は、これまで日本演劇・映画史においても忘れられた戦争であった。だが実際には、世界戦争であった第一次大戦は、人々の感性や生活様式を根底からくつがえし、その変化の影響は遠く日本にも多様なかたちでもたらされた。その経験は、当時の人々をとりまく日常に染みいり、今日に生きる私たちの埋もれた記憶と感覚にも足跡を残している。

 演劇では第一次大戦期に連鎖劇が流行のピークと衰退期を迎え、大戦中の風俗や民衆の精神性を示すこととなった。さらに新派・新国劇・レヴューといった商業演劇も第一次大戦の題材を多くとり上げている。

 映画において第一次大戦期に芽生えてきたのがたとえばプロパガンダの発想である。第一次大戦期の欧米では国営の映画組織が整備されていき、視覚的なプロパガンダとして有益な映画は精神の動員のために活用されていった。同様の動きが日本にも浸透し、軍や政府によるメディア戦略の制度化や検閲の問題が浮上するとともに、観客の映画の受容にも強い影響を与えた。これはフィクションと現実の分岐点とも捉えうるものであり、人々の映像へのまなざしを揺るがすものでもあった。  このシンポジウムでは、第一次大戦と演劇・映画をめぐるさまざまな観点を演劇学および映画学の報告者が提示し、隣接する芸術実践の接点や西欧/非西欧(日本)における事象の連動を自由に議論していきたい。

登壇者プロフィール

  • 小川 佐和子(おがわ さわこ)
    • 北海道大学大学院文学研究院准教授。専門は映画史・オペレッタ研究。著書に『映画の胎動 一九一〇年代の比較映画史』(人文書院、2016年)、共編著に『新派映画の系譜学 クロスメディアとしての<新派>』(森話社、2023年)など。
  • 小田中 章浩(おだなか あきひろ)
    • 大阪公立大学大学院文学研究科特任教授。専門は現代フランス演劇、比較演劇。著書に『戦争と劇場 第一次世界大戦とフランス演劇』(水声社、2023年)、 Japanese Political Theatre in the 18th Century – Bunraku puppet plays in social context (岩井眞實との共著、Routledge、2021年)など。
  • 横田 洋(よこた ひろし)
    • 大阪大学総合学術博物館准教授。専門は日本演劇史・日本映画史。共著書に『商業演劇の光芒』(森話社 2014)、『乙女文楽 開花から現代まで』(大阪大学出版会 2023)、『ちんどん屋 宣伝・広告に活きるハブ(集積/中継/交流)芸能』(大阪大学出版会 2024)。
  • 神山 彰(かみやま あきら)
    • 明治大学名誉教授。演劇学・近代日本演劇。国立劇場で歌舞伎・新派の制作に携わり、その後明治大学文学部勤務。著書『近代演劇の水脈』(森話社・2009年)『近代演劇の脈拍』(同・2021年)。編著『商業演劇の光芒』(同・2014年)『興行とパトロン』(同・2018年)『戦時下の演劇』(同・2023年)など。
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  • 基本的に西洋演劇研究を軸としつつも、比較の観点から広く演劇現象全般を見渡すという姿勢を貫いています。国際的な意識を持って活動する国内・国外の演劇人・研究者たちを招いて、意見交換をする場も設けています。

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