2024年度日本演劇学会研究集会【第一報 2024年1月】 | 日本演劇学会

2024年度日本演劇学会研究集会【第一報 2024年1月】

公開日:2024-01-22 / 更新日:2024-01-24

  • 全体テーマ:演劇の公共性と多様性
  • 期日:2024年11月30日(土)、12月1日(日)
  • 会場:東京経済大学 (〒185-8502 東京都国分寺市南町1-7-34)(国分寺駅から徒歩10分)

趣旨:

 現在の日本の現代演劇はきわめて多様なジャンルに亘って上演されている。きわめて少数の芸術性の高い「世界水準」の演劇がある一方で、商業性やエンターテインメント性を求める観客の嗜好にあわせたミュージカルや宝塚や歌舞伎が存在し、また商業性とは別個に公共性や地域性を主眼とした地域市民演劇や素人演劇、ろう演劇や障碍者演劇、人形劇やオブジェクト・シアターなどがある。そして大都市発の多くの演劇は、「旧新劇系」「旧アングラ」「旧八〇年代小劇場系」として、特定劇団のファンを中心にそれなりの観客を集めている。

 演劇が公共性を旨とするということは、このような多様な状況を是とすべきなのか、それとも演劇が真に「多様」であるためには「淘汰されるべき」演劇を批判するのか、こうした論争的な問いを一つの出発点としながら、演劇の公共性について再考したい。その文脈において、以下のようないくつかの問題系が考察できると思われる。

 20世紀末からの「公共劇場」の創設とその現状をどう考えるか? コロナ以降の演劇状況としてのチケット代金の高騰、観客の減少、オンライン化の波にどう対処するのか? より広範な状況としては、世界における物価の高騰、経済格差の拡大、彼我の距離の障壁、そして感染症の蔓延、終わらない戦争、地球環境の危機をもたらす気候変動などが、芸術や人文学の課題として急速に浮上しているのではないか? このような状況に対処するのに、演劇はどのような力を持ちうるか? 現代的なテーマとしては、演劇とポストコロニアリズム、演劇とエコロジー、演劇と新自由主義、演劇と新しい人類学、演劇と思弁的実在論といった主題をどう取り扱うか? また演劇史の観点からは、公共性と多様性という観点から、古代演劇と中世宗教劇の終焉と近代演劇の勃興、ロマン主義登場による古典主義の衰退、あるいは日本における近世から近代劇への変遷といったテーマをどのように俯瞰しうるか?

「演劇が公共のものであり多様であるべきだ」という主張は、こうした問いへの視座を演劇活動が見失わない限りにおいて有効なのではないだろうか?

研究集会実行委員長 本橋哲也

発表応募要項については3月初旬に、学会HPにて公開予定です。

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