日本演劇学会ハラスメント防止宣言 | 日本演劇学会

日本演劇学会ハラスメント防止宣言

ハラスメントへの対応

公開日:2023-06-30 / 更新日:2023-06-30

 

 近年、私たちの社会生活全般にわたる様々なハラスメントの問題は、社会全体として迅速に対応すべき課題であるとの認識が共有されてきました。これはアカデミズムの領域においても同様です。大学をはじめとする高等教育・研究機関におけるハラスメント行為の事例はたびたび報告されており、このような因習的にハラスメントを容認してきた状況に対する研究者個々人の自覚が問われています。

 ここでのハラスメントとは、個人がもつ様々な属性に基づく差別、当事者間の力関係の非対称を濫用して個人の権利や尊厳を脅かす行為、また公正かつ自律した研究・教育・労働環境を損なうすべての行為を指します。

 学術活動におけるハラスメントは、被害者の尊厳を傷つける卑劣な行為であることは言うまでもなく、研究・教育機関とそこに属する研究者、ひいては学術そのものの信頼を損ね、将来に渡って悪影響を及ぼすものです。さらに研究・教育を生業とする者の就労環境におけるハラスメントは、被害者の生活基盤そのものの破壊につながる許し難い行為であることは言うまでもありません。これは研究・教育機関に属する会員のみならず、主として演劇実践に従事しつつ研究・教育に携わる本学会会員も含め、本学会につながる労働全般に該当することです。

 また私たち日本演劇学会は、ハラスメントの問題とは、本学会が主たる研究対象とする演劇という文化そのものの特殊性と不可分であることを深く認識するものです。

 演劇は、その性質上、制作から上演、鑑賞までのあらゆる段階において、生身の人間存在とその行動とを含みます。ゆえにその関係者間で随所にハラスメントの可能性が生じます。また作品の内容においても、長い歴史の中で人間存在とその社会的存在のあらゆる側面にコミットしてきたがゆえに、現代の道徳的判断を超え、差別を擁護するかのような内容を含む場合も多々あります。

 本学会は、「演劇またはこれに関連ある諸部門の研究ならびにその成果の公表に資する」という本学会の設立目的に則し、あくまで研究的公正の立場から、それらに学術的対象として等しく向き合い、調査研究し、教育素材とすることで社会貢献を果たすべきであると考えます。

 このような観点から、日本演劇学会では、演劇という生きた人間の文化を研究対象とする自覚の上に、各学会員にハラスメントの防止をよびかけ、啓発活動に取り組むとともに、様々な人々の人格と人権とを尊重した、研究・教育・労働環境の実現に向け尽力することをここに宣言します。

日本演劇学会

2023年6月25日


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https://jstr.org/harassment/2245/

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