西洋比較演劇研究会 2023年度総会・第228回例会のご案内 | 日本演劇学会

西洋比較演劇研究会

研究会からのお知らせ

西洋比較演劇研究会 2023年度総会・第228回例会のご案内

公開日:2023-03-29 / 更新日:2023-03-29

  • 日時:2023年04月15日(土)14:00~17:00
  • 会場:成城大学 312教室(3号館1F)
    • 対面+オンライン開催
  • 総会:14:00~14:40
    • 会員状況・活動報告・会計報告・活動計画・予算など
  • 第228回例会:15:00~17:00
    • パネルディスカッション

パネルディスカッション「演劇は翻訳されたがっている」
パネリスト:小菅隼人(司会),平川大作,新沼智之

趣旨(※最下部に資料へのリンクがあります)

 古代ギリシャ演劇から,シェイクスピア,近代演劇,現代演劇まで,多くの戯曲が翻訳され,上演され,享受されてきたという事実は,演劇が,それが韻文劇であっても散文劇であっても,翻訳可能であり,翻訳されることを欲していると言えるのではないか.戯曲は,「翻訳可能性」と「翻訳志向性」をもっていることを前提に,演劇の翻訳者は,何を翻訳するのか? 何を付け加えて何を失うのか? どのような翻訳を目指すのか? という問題をこのパネルでは考える.

 第一の課題:戯曲の翻訳は,情報としての意味の伝達の他に,「詩的なもの」としての文学的価値をも伝えるべきか? 言い換えれば,演劇の翻訳は,①語学的に正確で分かりやすい文章であることと,②俳優に暗記され舞台の上で朗唱される目的を持っているセリフであることの間にあって,その二つがせめぎ合う場合,どちらをとるべきか? もとより劇文学としての「翻訳戯曲」と「上演台本」は,異なる目的を持っており,それ故に,異なる性質を持っているが,翻訳戯曲は,テキストの語学的変換であるだけで十分に目的を達していると言えるのか? それとも,「詩的なもの」を伝えるための「創造的誤訳」は許容されるのだろうか? 他方,翻訳上演台本においては,上演のための「創造的誤訳」はどこまで許されるのだろうか?

 第二の課題:翻訳劇は,それが戯曲である限り,俳優の身体性が籠められた日本語という意味での「戯曲語」で訳される.そして,「戯曲語」は,現代の読者にもっとも分かりやすい現代日本語であるべきなのか? すなわち,翻訳劇は,常に,現代日本語の中での「新訳」であるべきなのか? あるいは,いわゆる翻訳であることを意識させない「創造的翻訳」は翻訳劇としての価値があるだろうか? 例えば,シェイクスピアの場合,坪内逍遥訳や木下順二訳,福田恆存訳などの文学者の翻訳が,新訳に超えられることのない,翻訳戯曲としての価値があり得るのだろうか.それとも,折口信夫が,上田敏の『海潮音』を評して言ったように,あまりにも日本語になり過ぎた翻訳は,外国演劇,あるいは西洋古典劇の翻訳劇としての価値を損なってはいないか?

パネリスト・プロフィールと主な翻訳戯曲

  • 小菅隼人(慶應義塾大学・教授)
    • 研究分野:シェイクスピアを中心とする英国チューダ朝演劇研究,土方巽アーカイブを拠点とした暗黒舞踏研究.
    • 論文等(最近のもの):「〈時〉に翻弄されたひとたち:西脇順三郎訳『シェイクスピア・ソネット詩集』について」『慶應義塾大学アート・センターBooklet:30号』2023年3月.「〈自然〉の中の人間,人間の中の〈自然〉シェイクスピア作『リア王』(William Shakespeare, The Tragedy of King Lear)の空間意識―試論」『慶應義塾大学教養研究センター: 連接』 No.1,2023年5月(近刊).
    • 翻訳:『ハムレット』『新訂ベスト・プレイズ』所収,論創社,2000.『リア王』『ベスト・プレイズII』所収,論創社,2019.
  • 平川大作(大手前大学:教授)
    • 研究分野:英米現代演劇
    • 論文:「「記憶の演劇」試論―コペンハーゲン』と『父と暮せば』を中心に」(特集 演劇と記憶)『演劇学論集』(通号42) 2004. 「「中の人」論―サブカルチャーにおえる演技のその受容」『演劇学論叢』(第22号)2023.
    • 翻訳:マイケル・フレイン『コペンハーゲン』(上演台本,2001年), ブライオニー・レイヴァリー『凍える』(上演台本,2022年).
  • 新沼智之(玉川大学:准教授)
    • 研究分野:西洋演劇の近代化プロセスについて
    • 論文等:「演技の近代化プロセスにおけるゲーテの演技観」(『西洋比較演劇研究』Vol.18,  No.1, 2019), 研究ノート「芝居を見るということと芝居について語るということ」(『芸術研究』13号, 玉川大学芸術学部, 2022).
    • 翻訳:シラー『オルレアンの乙女』『ベスト・プレイズⅡ』所収,論創社,2019.

参考資料(上記情報も記載されています)

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