研究会からのお知らせ
西洋比較演劇研究会 2024年度総会・第234回例会のご案内
公開日:2024-03-29 / 更新日:2024-03-29
- 日時 2024年04月13日(土)15:00~18:00
- 会場 成城大学7号館1F: 714教室 オンライン併設
- zoomリンクを4月10日頃に送付します。
- 会員でない方もオンライン参加可能ですが、予めお名前、ご所属あるいはご専門の情報とともに研究会事務局まで申し込みください。宛先はy3yamash[アト]seijo.ac.jp です([アト]をアットマークに変えてご送信ください)。
- 総会:15:00~15:40
- 例会:16:00~18:00 (30分程度の延長があり得ます)
第234回例会
シンポジウム「現代人形劇/オブジェクトシアターの視角」
- パネリスト:山口遥子(司会)・小川佐和子・亀山凌(ゲスト)
- コメンテーター:楯岡求美・山下純照
- タイムテーブル
- 16:00~16:25 山口遥子「現代人形劇の射程:下北沢国際人形劇祭を振り返って」
- 16:25~16:50 小川佐和子「日本映画における人形浄瑠璃の間テクスト性」
- 16:50~17:15 亀山凌「『思弁的転回』から見た現代人形劇──オブジェクト指向存在論、アクターネットワーク理論、新しい唯物論の比較を通じて」
- 17:15~17:40 コメントと応答
- 17:40~18:00 会場との討議(最長で18:30まで延長可)*オンラインでの質疑の仕方については担当者から説明します。
趣旨
ザ・スズナリ等を会場に開催された「第一回下北沢国際人形劇祭」(2024年2月21〜27日)では、国外の現代人形劇/オブジェクトシアターの諸相を示す8作品が上演されました。俳優と共に舞台に上がったのは杖やグラスや段ボール箱などレディメイドの日用品、あるいは抽象的な可動式・自動式オブジェクトです。従来のように特定のキャラクターを示す人型・動物型の具象的人形は、特別の理由無しには用いられなくなりつつあります。チャペック『ダーシェンカ』やトルストイ『アンナ・カレーニナ』など前世紀の文学作品を原作とした舞台作品も例外ではありません。その背景には、20世紀以降人形劇が経験してきた人間中心主義からの転向があるように思われます。
演劇学において人形劇はしばしば人間のミニチュア演劇と捉えられてきました。しかし近年の現代人形劇の関心の在処は、人間の物語を演じるということから、人間と人形/オブジェクトとの関係の探究そのものへとシフトしています。クライストやベンヤミンが指摘したように、精神と物質の関係を問う姿勢はこれまでも人形劇の通奏低音として響いていましたが、その問題意識が表面化し、作品毎に人間と物をめぐる新たな視点を提示することが現代人形劇の評価軸の一つにすらなっているように思われます。このシンポジウムでは、人形劇をめぐる新たな諸実践を、映画学および新実在論哲学の観点から討議し、「物の演劇」(Theater der Dinge)とも呼ばれる人形劇が演劇あるいは広く芸術実践にもたらしうる可能性について考察します。
登壇者プロフィール
- 山口遥子(やまぐち ようこ)
- 独立行政法人日本学術振興会海外特別研究員(ドレスデン国立美術館)。博士(美術)。欧州を中心とした現代人形劇論、及び日本現代人形劇成立史を研究。「下北沢国際人形劇祭」企画統括。
- 小川佐和子(おがわ さわこ)
- 北海道大学大学院文学研究院准教授。専門は映画史・オペレッタ研究。博士(文学)。著書に『映画の胎動 一九一〇年代の比較映画史』(人文書院、2016年)、共編著に『新派映画の系譜学 クロスメディアとしての<新派>』(森話社、2023年)など。
- 亀山凌(かめやま りょう)
- 1991年千葉県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻単位取得後満期退学。専門は美学。現在の研究領域は、現代フランス哲学および思弁的実在論、現代美術の批評的理論。
- 楯岡求美(たておか くみ)
- 東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門はロシア演劇・文化研究。主要論文:「歴史パノラマとしてのマヤコフスキー≪ミステリヤ・ブッフ≫」(2019) 、「過去を創る 映画«Лето»(レト)(2018年,セレブレンニコフ監督)に描かれた青春群像」(2022)。
- 山下純照(やました よしてる)
- 成城大学文芸学部・文学研究科教授。演劇理論、ドイツ演劇、日本現代演劇研究。劇のナラトロジーおよび劇における複合的時間構造が近年のテーマ。『西洋演劇論アンソロジー』(編著)、『演劇学へのいざない』(共訳)、最近の論文は「閉じることで開く―前川知大『天の敵』における複合的時間構造の効果―」(2024)。