Show must go on. | 日本演劇学会

Show must go on.

公開日:2021-08-03 / 更新日:2021-09-17

 

木下耕介(広報情報委員会)

このページは、以前の学会会報(紙媒体)での「フォーラム」(投稿記事)に該当するような文章、大会、研究集会、その他の集会などの報告記事、あるいは書評、劇評などの多用途に使うように設けられているものです。

 日本演劇学会会員の皆様、お世話になっております。記念すべき一回目の投稿ですので、本来は当日本演劇学会の会長である永田靖先生にお願いするべきであったかと存じますが、広報情報委員の一員に過ぎない私の投稿で始める非礼をご容赦ください。私は旧ウェブサイトの管理人を過去数年にわたりお引き受けし、誠に杜撰な管理ではありましたが、会員の皆様のご協力とご容認のおかげで続けてまいることができました。また、この新規ウェブサイトにも広報情報委員会の一員として参加させていただき、様々な実務に携わることができました。その立場から発言をせよとのことだと理解し、新たなコラムの露払いを務めさせていただきます。

 その投稿をこんな事柄で始めたくはありませんでしたが、やはり現状に向き合うことから始めたいと思います。2020年の初頭より本邦を、そして世界を襲った疫病禍は、ありとあらゆる人間的な活動を妨げ、我々の学会活動もその災いを逃れることはできませんでした。2020年度の春の全国大会はやむなく中止となりました。同年秋には、現状に適応するためにどうにかこうにか身につけた拙い技術によって、なんとかオンラインでの研究集会の開催にこぎつけることができましたが、その頃は、春になれば…という淡い期待もあったものの、2021年になっても事態は好転せず、春の全国大会もまたオンライン化し、そしてまた秋も…という事態が続いています。

 正直に申し上げて、会員の皆様も辟易し、疲弊していらっしゃると思います。私自身も、疫病の前の時代が懐かしいです。話題の上演を見逃さぬよう、あるいは自らが関わる上演のために、劇場に足繫く通ったこと。日本の各地に集い、最新の研究の成果を共有し、我が国と世界の演劇をめぐる状況について熱く議論を交わし、そしてまさに肝胆相照らすというべき雰囲気の中で、夜更けまで酒を酌み交わしたこと…こういったことが、いつまた可能になるのか、これを書いている時点では見当もつきません。

 何より、我々が情熱を注ぐ研究対象である演劇そのものが、かつてない苦境に立たされています。このことは言うまでもありません。

 しかし、この世はすべて舞台、そして舞台は、一度幕が上がったら何があっても続けなくてはなりません。われわれはわれわれの責務を果たさなければなりません。そのために、少しでも皆様のお役に立てるよう、われわれ広報情報委員会(この委員会もまた、この夏に発足したばかりの新しい委員会です)は、この新しいウェブサイトを用意いたしました。われわれ委員会は、既に稼働しているマイページとともに、この新サイトが皆様の研究教育活動をより効率的に支援できるように、気概をもって設計したつもりです。 

 このコラムもその一環です。このコラムは、これまで印刷物として皆様のお手元にお届けしていた会報の誌面にあった「研究フォーラム」の内容を継承しつつ、たとえば大会・研究集会の報告や、会員の皆様が関係する催しの報告、あるいは最新の研究成果を報告する研究ノートなど、様々な用途に利用していただけるように新たに設けられたページです。このページに象徴されるように、新しいウェブサイトを皆様が存分に利用してくださり、ここが皆様にとってのひとつの「集会」の場となれば幸いです。

 また広報情報委員会では、今後各種SNSでの公式アカウントの運営など、オンライン上でのプレゼンスを高める活動を計画しています。それは単に、コロナ禍での対面を伴う活動の制限を補償するための方策として企図されたものではありません。このような状況に関わりなく、われわれは、進取の気性をもって、新たな時代、新たな社会形態における我々の活動の意義を示し、知見を還元していくべきであるという考えに基づくものです。またそうすることによって、会員の皆様の研究活動にも大きな実りがもたらされるでしょうし、今後も日本演劇学会がより一層大きく発展していくに違いない、そう信じているからこそです。今後とも当委員会の活動にご賛同いただき、ご協力いただければ幸いです。

 最後になりましたが、この新しいサイトは、広報情報委員会の花家彩子先生の技術力と情熱がなければ、こんなにも早く、こんなにも素晴らしいものになることはあり得ませんでした。その他の委員一同は、花家先生のご指導のもと、雑用を務めたにすぎません。この場を借りて花家先生のご尽力に対して改めてお礼を申し上げ、筆をおきたいと思います。

2021年吉日 木下耕介(広報情報委員会)

  • 学会コラム「Theatre / Studies」

    以前の学会会報(紙媒体)での「フォーラム」(投稿記事)に該当するような文章、大会、研究集会、その他の集会などの報告記事、あるいは新刊紹介、劇評などの多用途に使うように設けられているものです。

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